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月別アーカイブ: 2025年9月

やまもものよもやま話~認知症ケアの第一歩:不安の正体を知り、関係を築く 🧠~

皆さんこんにちは!

合同会社やまもも、更新担当の中西です。

 

さて今回は

認知症ケアの第一歩:不安の正体を知り、関係を築く 🧠

 

認知症のある方の“困った行動”の多くは、本人が感じる 不安・混乱・不快(痛み、寒さ、空腹、羞恥) のサインです。私たちがやるべきは止めることではなく、理由を見つけて環境と関わりを整えること。本稿では、明日から使える観察と声かけ、住環境の小改良、家族支援まで実践的にまとめます。🧭

 

1|基本姿勢:ラベリングをやめ、仮説を立てる
• 事実→仮説→検証のサイクルを回す(例:「夕方に玄関をうろつく」→“疲労”や“低血糖”の可能性→間食と休息で検証)。
• 尊厳の保持:できることは任せ、選択肢を示す。「お茶にします?それとも白湯?」「今は休みます?トイレだけ行っておきます?」😊
• “否定しない”が最短ルート:「違います」より「そうなんですね。心配でしたね」→安心の土台づくり。

 

2|観察のコツ:5W1H+身体感覚マップ
• When/どの時間帯(夕暮れ症候群、午前中の不調)。
• Where/どの場所(玄関・台所・寝室)。
• Who/誰の前で(家族の帰宅時、ヘルパー交代時)。
• What/何の前後(食事・服薬・排泄・入浴)。
• How/どんな様子(表情、歩行速度、手の冷え、呼吸)。
• 身体感覚:寒さ・痛み・かゆみ・口渇・便意・尿意・眩しさ。📝 → “観察→仮説メモ”を3行で:①状況 ②仮説 ③次の一手。

 

3|関わり方:3つのS(Short/Slow/Show)
• Short:短く → 5〜7語で要点。「今から靴下をはきます」
• Slow:ゆっくり → 動作と声のスピードを合わせる。相手の呼吸に同調。
• Show:見せる → 写真・実物・指さし・身振り。言葉より視覚。👀 + Names:名前で呼ぶ/敬称をつける→安心感が上がる。

 

4|環境調整のミニマムセット
• 道具の定位置化:眼鏡・リモコン・ゴミ箱・ティッシュの“いつもゾーン”。
• コントラスト:トイレのフタは白、便座は色付きで見やすく。
• サイン:写真+大きな文字(例:冷蔵庫に「水・お茶はココ」と写真)。
• 照明:夕方はオレンジ寄りで眩しさを減らし、夜間は足元灯。💡
• 音:テレビの音量・ニュースの刺激を調整。音の情報過多は不穏を誘発。

 

5|家族支援:感情と役割の再設計
• 悲嘆の揺れ(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)を知るだけで、家族は楽になる。
• 役割の言い換え:「監視」ではなく「安心の見守り」。
• 期待値の調整:昨日できたことが今日できない波を前提に、“できたらラッキー”運用へ。💬

 

6|ミニケース①:帰宅願望への対応
夕方になると「家に帰る」と玄関へ。仮説:薄暗さ+空腹+日課の欠如。→ 介入:16:00に照明を早めに点灯、甘いおやつと白湯、“お迎え準備”という役割(上着を畳む、靴を整える)をお願い。30分で落ち着き、居室での会話が再開。🌇🍘

 

7|ミニケース②:物盗られ妄想の背景
「財布を盗まれた!」と怒り。仮説:財布の定位置が揺れ、金銭不安が増幅。→ 介入:透明箱に“財布の定位置”を写真で表示し、小額財布と管理ノートを導入。ヘルパーはレシート貼付を徹底。2週間で訴えは週1回まで減少。💳📒

 

8|今日から使えるチェックリスト ✅
☐ 3行の観察・仮説・次の一手を書いたか。
☐ 3つのS(Short/Slow/Show)で関わったか。
☐ 定位置・サイン・照明を整えたか。
☐ 家族の感情に名前をつけ、役割を言い換えたか。

 

9|ミニワーク(5分)
• 観察カードを作る:「時間・場所・前後・様子」を1訪問につき1枚。
• やさしい約束を1つ決める:「否定しない」「一緒にやる」など。🗂️

 

10|まとめ
認知症ケアは“正解を言い当てる競技”ではなく、仮説→試行→学習のチーム作業。根っこにある不安をほどき、安心と役割を取り戻すことが最良の薬になります。🌸

 

 

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やまもものよもやま話~生活援助の極意:掃除・調理・買い物・洗濯を“自立支援”で考える 🍳~

皆さんこんにちは!

合同会社やまもも、更新担当の中西です。

 

さて今回は

生活援助の極意:掃除・調理・買い物・洗濯を“自立支援”で考える 🍳

 

 

生活援助は“家事代行”ではなく、“家事のやりやすさを整える”支援。本人のやりたいことを中心に、工程を分解し、道具と環境を整えて、できる範囲を少しずつ広げる。🔧

 

1. 掃除:2畳の成功体験
• 道具の定位置化:ゴミ袋・ちりとり・ウェットシートをワンセットに。
• 時間の箱:タイマー5分で“終わりが見える”家事に。
• 優先順位:転倒リスクの高い床→水回り→埃。
• 拒否の訳:「どこから手をつけてよいか分からない」。→最初の一手を一緒に。🧹

 

2. 調理:安全と栄養のミニマム
• ワンプレート思考:主食・主菜・副菜・汁の“四隅”を意識。
• 火の管理:IH・自動消火・タイマー鍋・見守りアラーム。
• 下処理の前日化:野菜を切って冷蔵、主菜を漬ける、出汁パック活用。
• 栄養の底上げ:タンパク(卵・豆腐・魚の缶詰)、水分(味噌汁・ゼリー)。🍲

 

3. 買い物:金銭と疲労を見える化
• 買い物リスト:写真付き・定番品はテンプレ化。
• 支払い:小額現金の管理、レシート貼付、代理受領のルール。
• 配達サービス:宅配・生協・ドラッグストアの“置き配”を併用。

 

4. 洗濯:事故ゼロの導線
• 仕分け箱:色物/白/タオル。床置きをやめる。
• ベランダ安全:段差・手すり・踏み台。無理に外干しさせない。
• 乾燥の代替:浴室乾燥・室内物干し・ドラム式。🧺

 

5. ミニケース:料理が好きだったCさん
調理中の火の消し忘れが増え、家族が“調理禁止”に。Cさんは意欲低下。→ IH+タイマー鍋+見守りセンサー導入、下ごしらえを一緒に行い、仕上げだけCさんに。週1の“得意料理”が復活し、食欲も会話も増えた。😊

 

6. 今日から使えるチェックリスト ✅
☐ 家事工程を分解し、本人の役割を1つ以上残したか?
☐ 危険箇所(火・水・段差・金銭)を確認し対策したか?
☐ リスト・写真・タイマーで“見える化”したか?
☐ 買い物レシート・金銭管理を記録に残したか?

 

7. まとめ
生活援助は“早いこと”より“続くこと”。自分でできたの積み重ねが、生活機能と自尊心を守ります。🌟

 

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やまもものよもやま話~身体介護の基本:入浴・排泄・更衣を安全に、dignified に ~

皆さんこんにちは!

合同会社やまもも、更新担当の中西です。

 

さて今回は

身体介護の基本:入浴・排泄・更衣を安全に、dignified に

 

身体介護は最も事故リスクが高く、最も信頼関係が試される場面。安全・尊厳・効率の三本柱で、明日から実践できる具体策をまとめます。

 

1. 共通の原則
• 予告と同意:「今から上半身を拭きますね」→安心と主体性。
• 重心と支点:利用者の重心、ヘルパーの足幅、ベッドの高さ調整。
• “痛み・寒さ・恥ずかしさ”の最小化:短時間・保温・目隠し・選べる衣類。
• 観察:皮膚・むくみ・表情・息切れ・ROM・水分摂取量。

 

2. 入浴介助(清拭含む)の要点
• 準備8割:タオル、石けん、保温具、着替え、緊急呼出、マット、滑り止め。
• 導線づくり:椅子→手すり→浴槽へ“3点移動”を分解して確認。
• 声かけの順序:姿勢→動作→感覚(「足元温かいですか?」)。
• ヒヤリ防止:湯温 40℃以下目安、洗い残し・滑り・立ちくらみ対策。
• 清拭のコツ:顔→上肢→胸腹→背中→下肢→陰部の順でタオル交換。

 

3. 排泄介助(トイレ・ポータブル・おむつ)
• プライバシー:カーテン・ドア・声かけ。
• 姿勢:足底接地・前傾・腹圧。手すり位置と高さ。
• 便秘と下痢の兆候:食事量・水分・薬・運動・記録の見直し。
• おむつは“最後の手段”:トイレ動作を小分け練習、ポータブルの高さ調整。

 

4. 更衣介助
• 患側→健側(脱ぐときは患側から、着るときは患側を先に)。
• 衣類選び:前開き、面ファスナー、タグのチクチク対策。
• 冬場の工夫:部屋を先に温める、衣類をタオルウォーマーに。

 

5. ミニケース:入浴拒否のBさん
「疲れるから嫌」と週2入浴を拒否。理由の翻訳を行うと「寒い」「滑る」が本音。→ 脱衣所を先に暖め、滑り止めマットを追加、足湯+清拭から再開。2週後に部分浴、1か月で全身浴に戻る。

 

6. 今日から使えるチェックリスト ✅
☐ 介助の前に、目的・手順・予告を伝えたか?
☐ 導線の滑り止めと手すり位置を確認したか?
☐ 湯温・室温・保温をコントロールできたか?
☐ 皮膚・むくみ・痛み・疲労感を記録したか?

 

7. まとめ
身体介護の質は、準備と観察と言葉で決まる。安全と尊厳が両立すると、拒否は減り、自己効力感が戻ります。

 

 

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やまもものよもやま話~訪問介護の全体像と理念:利用者の「暮らし」を支えるとは何か 🏠~

皆さんこんにちは!

合同会社やまもも、更新担当の中西です。

 

さて今回は

訪問介護の全体像と理念:利用者の「暮らし」を支えるとは何か 🏠

 

「できないことを代わりにやる」――それも訪問介護の大切な役割。でも、目指すゴールは“その人らしい暮らしの継続”。今日の支援が、明日の“できる”を減らしていないか? 自立支援・重度化防止の視点で、訪問介護の骨格を整理します。🧭

 

1. 訪問介護のミッションは「生活機能の維持・向上」
• 自立支援:可能な部分は本人が行い、私たちは“やりやすくする条件づくり”をする。
• 重度化防止:転倒・低栄養・口腔不衛生・不活動を放置しない。
• 尊厳の保持:早い・正しいより「いっしょに」「選べる」を優先。🤝

 

2. サービスの全体像(アセスメント→計画→提供→評価)
1. 情報収集(既往歴・生活歴・価値観・役割)。
2. 目標設定(“掃除ができる”ではなく“来客を笑顔で迎えたい”など生活目標)。
3. 手段選択(身体介護/生活援助/福祉用具/連携)。
4. 実施と観察(バイタル・表情・食事量・歩行速度)。
5. 記録と共有(SOAP・翌訪問者への引き継ぎ)。📝

 

3. 現場で起こりがちな“善意の落とし穴”
• 何でも代行 → 廃用と自己効力感の低下。
• 時短優先 → 本人のペース無視で不安・拒否。
• 家族の期待に合わせすぎ → 本人の意思が埋没。
• 記録の省略 → 継続性が崩れ事故リスク。

 

4. 自立支援を進める「5つの工夫」
• 声かけを変える:「手伝いますね」→「一緒にやりましょう」😊
• 環境の小改良:手すり、滑り止めマット、物の定位置化。
• 段取りの見える化:チェックリスト、タイマー、写真手順。
• 小さな成功体験:達成記録カードで“続ける理由”を育てる。
• 関係の質:名前で呼ぶ、選択肢を示す、感謝を伝える。🌸

 

5. ミニケース:掃除拒否の独居Aさん
Aさんは「掃除は自分でできる」と援助を拒否。観察すると物の置き場がバラバラで、掃除が“始めにくい”状態。→ 作業の最初の1分を一緒に実施(ゴミ袋・道具の定位置化、2畳だけ掃く)。3週で「来客前だけ一緒に」が「週1自力」に変化。👏

 

6. 今日から使えるチェックリスト ✅
☐ 自立支援の声かけに置き換えたか?
☐ 本人の“やりたい”が計画に反映されているか?
☐ 観察項目(食事量・歩行・口腔・気分)を記録したか?
☐ 次回訪問者へのメモを残したか?

 

7. まとめ
訪問介護は「家事代行」でも「医療」でもない。その人の生活に寄り添い、できるを増やす支援。今日の1歩が、明日の自信と安全をつくります。🌈

 

 

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